2025年宮城県公立高校入試数学解説

2025年3月4日に宮城県公立高校入試が行われました。

1-3 単なる計算

4 「bについて解きなさい」という表記が分かりにくいですが、要はb=○○にすればOKです。
7b=-a+3 の両辺を7で割ると
$$b = {3-a \over 7}  あるいは部分分数表記で  b = – {a \over 7} + {3 \over 7} $$
見た目には前者が分かりやすいですが、模範解答は後者になっていました。まあ値は同じですが。

5 単なる計算

6 y=ax^2に代入してf(6)=9より -9=36a

7 高校入試数学の問題には珍しく社労士国家試験の択一式みたいな問題です。4つの正誤を判断します。
ア 明らかに〇
イ 角CAB=45°なのでその二等分角(設問分では二等分線と称するが本当は二等分角)PAOなら22.5°、ここからは三角形の合計でも円周角の定理でもどっちでもいいので角POBは45°なので〇
ウ 明らかに〇
エ そういう作図をすると角POB=30°になってしまうので×

8 そもそもなぜ累積値なのか不明な上に保護者世代には分からない用語ですが、国語の問題と解釈すれば
A組=16/25=69/150 > B組=18/30=90/150 で、「A組が大きい」となります。
度数は16/25ですが、模範解答は小数表記の0.64となっていました。

1 てっきり大学入学共通テストにあったプログラミング言語の問題かと思いましたが、実際は q=(p+2)(p-6)-12 という2次方程式です。

(1) f(1) = 3 * (-5) -12 = -15-12 = -27

(2) (p+2)(p-6)-12 = p となる整数解を求めることと同じです。ただ、わざわざ整数と言わなくても因数分解すると (p+3)(p-8) = 0 なので整数しかありません。

2 高専の問題で1次関数と2次関数の交点がありましたが、ここでは1次関数と双曲線が同一平面にあるというどちらかというと大学受験で出そうな問題です。

(1) f(4) = 3/2 * 4 = 6

(2) 上記(1)よりAD=6なので、BC=6となるには?
BCの第4象限の長さは4なので、第3象限の長さは2です。
この時のy座標は1次関数から-3と分かり、双曲線側ではa/4、つまりa/4=-3なのでa=-12

3 図形問題は分かりにくくて点が取りにくいので後回しにされることが多いです。
(1) AB:AE=4:3なので、体積であれば3乗すればいいことが分かります。
4^3:3^3 = 64:27

(2) いきなり求められないので全体から上の図形を引くのか?と思いましたが普通に3辺求められます。
上述の(1)からEBの長さは全体の1/4だから、EB=6*1/4=3/2です。
同様にEGとEFの長さが分かれば、それを6で割れば三角錐の面積です。
EGとEFは全体の3/4だから、EG=EF=4*3/4=3
なので3/2*3*3*1/2*1/3=9/4

4 先日行われた東北大学の問題でも確率の問題が出て同じ内容内容でしたが、こっちは単純にプラスの方向に進むことだけ考えればいいです。

(1) 3か4が出ればいいので2/4=1/2

(2) 2回ルーレットを回して結果的にE or Hに到達していればOKです。
目の出方は全部で16通りですので、マトリックスを描いて考えます。
(樹形図でも結果的に同じならOK)
そうすると16か所のうち、6箇所が該当します。6/16=3/8

やたら文章量が長く圧倒されますがほぼ国語の問題になっております。
オール電化の家庭が多くガス火を使ったことのない中学生にはイメージがしづらく不利です。
奇しくも3月は震災のあった月で、オール電化はもちろん都市ガスも4月ぐらいまで使えなかったのでカセットコンロが重宝したというサバイバル知識にかけているのでしょうか。中学3年生なら震災時には4歳なのでカセットコンロの経験もあるかもしれません。
なお、「カセットコンロ」は和製英語なので英語圏では portable gas stove というようです。幸い英語の試験ではなく数学の試験なのでそこは問われませんでしたが。

1

(1) そのまんまなので 50a + 15b (g)

(2) ガスの総量は 240 * 6 (g)
そこで連立方程式
2a = b … ①
50a + 15b = 240 * 6 … ②
を解きますが、その際240 * 6はあえて計算せず、全体を公約数で割っていくと計算が楽です。
この場合bを2aと代入するのではなくその逆、aの係数を半分にしてbに変えるという学校の先生からは邪道と言われそうですが楽で間違えにくい方法を取りました。
25b+15b=240*6
40b=240*6
b=36
その半分でa=18(回)

2 強火 = 3 * 弱火
(1) 強火で60分間だと240g使う
なら強火で20分間だと80g使う→残りは240g-80g=160g

(2) 強火と弱火の間の名称が設定されていませんが、便宜的に中火とでもしておきましょう。
カセットコンロA 中火80分間で240g使う
カセットコンロB 強火40分間+弱火?分間で240g使う

(ア)強火40分間だと上記(1)の20分間の2倍の消費量なので160g使う→残りは240g-160g=80g
なので(x,y)=(40,80)となる点を打ち、そこから初期値(0,240)に線を引きます。
弱火は180分間で240g使うことが分かっているので、その3分の1の80gだと60分で使い切ります。
なのでx=40+60=100(分)でy座標の値が0(g)です。なので(100,0)と上述の(40,80)を結びます。

(イ)残量が同じになるのは2つのグラフの「交点のy座標」の値です。
交点の座標は当然2つのグラフから二元一次方程式を解くだけの一見簡単そうに思えますが、カセットコンロBのグラフがトリッキーなので計算めんどくさいです。
Bのグラフは折れ線になっていますが、計算に必要なのは弱火の部分だけです。強火の部分は無視です。
y=ax+bとすると、(x,y)=(40,80),(100,0)の2点を通ることから、
80=40a+b
0=100a+bを解くと
a=-8/6=-4/3
b=400/3
です。
なので
$$y = – {4 \over 3}x + {400 \over 3} ではありますが、後の計算を楽にするため y = {400-4x \over 3}$$
一方、カセットコンロAのグラフは単純に y=-3x+240 でOKです。
この二元一次方程式なので$${400-4x \over 3} = -3x+240$$
両辺を3倍したりいろいろ計算して x= 64(分)、これをいずれかの式に代入するわけですが、 y=-3x+240 の方が楽でしょう。
y = -3 * 64 +240 = 48(g)

1 三角形の斜辺が円周なので対角は90°です。
なのでACの長さをxとすると、x^2+5^2=6^2
x^2=36-25=11
x=±ルート11ですが、x>0よりルート11 (cm)となります。

2 上記1より角ACB=角DEA=90°です。
あとは、残りの1角あるいは2辺の比が等しいかを見ます。
この場合、弧AC=弧BDであれば対応する円周角も同じはずなので、角ABC=角DAE
三角形の2角が等しいので相似

3 AD=BC=5なので、相似比は6:5、もとの長さの5/6だから、
5*5/6=25/6 (cm)

4 DF=6だから、ここを底辺として高さが分かればOK、と思いますが高さを出せるような情報がありません。
そもそも全問までの答えがヒントになっているはずなので、AC=ルート11、AE=25/6、さらには何かと何かが相似であることを利用するはずです。
なのでDFが底辺という発想は一旦無視します。
そうすると一発で△DFGを求めるのではなく、一部ずつ求めて合算する、あるいは逆により大きい図形を求めてそこから引いていくのどちらかが現実的です。
ここで、弧AC=弧BDであれば対応する辺も同じはずなので、AC=AD=ルート11、さらにFB=5なので、△DFBの面積なら分かります。
そこから余計な△DGBの面積を引けば答えである△DFGの面積が分かります。

あとは、どうやって△DGBの面積を求めるかということになります。
方法は2つあります。
方法1…GBの長さを求める、つまり一発で△DGBの面積を求める
方法2…△DGBを線分EBで上下二つに分割する、つまり△DEBと△EGBの面積をそれぞれ求める。
これらの方法で言えば、方法1の方が圧倒的に計算量は少なくて楽です。
ではなぜあえて方法2を載せたのかというと、方法1は△DGBが元の三角形と相似であることに気づかなくては線分の長さを求めようがないからです。なので方法1に気が付かないという受験者も多いのではと思います。
その点方法2ではとりあえず線分EBの長さは6-25/6 = 11/5 と分かり、そこからEDの長さも分かります。つまり△DEBの面積が分かるわけです。あとは△EGBの面積を求めるだけ。
しかしここでも結局△DEBと△EGBが相似ということに気づかなければ線分の長さが分からなくなります。で、結局はどうせ相似なんだったらと思って計算量の少ない方法1に戻ってしまうか、方法2を続けるかのどちらかになります。いずれにしても計算には非常に時間がかかり、部分点もつかないので6点という配点を丸々得られるか0点になるのか両極端な結果になります。
この問題を落としてしまうと他が全部正解でも94点になるため、非常に厳しいです。
せめて誘導尋問の形式になっており、まず△DFBの面積を求めるところまでが3点とかになっていれば、あとは余計な△DGBの面積を求めるんだなとわかるのでとっつきやすいと思います。というか、設問である△DFGの面積を求めることと、余計な△DGBの面積を求めることは実質的に計算過程が同じなので、設問自体が「△DGBの面積を求めなさい」であれば正解者も多くなったことでしょう。
で、結果的にはGB=11/5まで到達できれば正解したも同然。
あとはFG=5-11/5=14/5、これを底辺として高さがBD=ルート11までたどり着ければ14/5 * ルート11 *1/2 =7/5 * ルート11 (㎤)となります。


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