去年あたりから雨後の筍のように各地で子供食堂というものが登場し始めました。
これは具体的には、小学生以下の子供が気軽に立ち寄れ、100円~300円ぐらいで食事ができるというものです。
しかし、実際には大人が対象であったり、だいぶ前から予約が必要であるなど気軽さは一切なく、食堂ではなく弁当を販売する形式に変わってきているところが散見されます。
これはなぜでしょうか?
大前提として、食堂形式だと運営者の費用が掛かり過ぎ、100円~300円では利益が出ないどころか金を払って子供食堂を運営することになります。
つまり初めから赤字の事業ということです。
そのため、その場で食べるという形式ではなく、金と弁当を交換してさよならという形式にならざるを得なくなります。
さらに、売れ残りが出ると売り上げが減るだけではなく廃棄コストもかかるので、少なめに売るか、受注生産のどちらかになります。
「せっかく行ったのに買えなかった」という声が小学生から出るとイメージダウンになるので、上記2択では受注生産という選択肢になるのでしょう。
しかし予約をするのは小学生では難しいため、大人がすることになります。
結果として、弁当売り場に遠方から車でわざわざ乗りつける者が散見される、構図になります。
この景色を見た近所の人が、「子供食堂って名前なのに大人が、しかも車で乗りつけ?」と思うのも無理はありません。
ただ、近所の子供が歩いて来れる、本当の食堂形式にすると長期的に続けるのが難しくなるので、「子供食堂」ではなく「大人弁当屋」になるのは仕方ないかもしれません。
むしろ、このように利益が出ない事業こそ行政の出番です。
本来であれば行政がやるべきことを、民間の方が見るに見かねて利益度外視で行っている、というのが今の現実です。
だから、「○○地域で子供食堂がオープン!」というニュースがまるで美談であるかのように報道されますが、実際には、その地域では行政がまともな仕事をしていないということを報道していることに他なりません。
もう一歩踏み込んで、善意で子供食堂を運営している人に対して行政が費用面で役立つなどして、継続しやすくすることが大切だと思いました。
そういう用途に税金が使われるのであれば文句を言う人はまずいないはずです。